近所の子供が百本以上ゲームソフト持っててそいつが羨ましかった。
うちはあまり裕福じゃなかったから、そいつの家でゲームをやらせてもらってたんだ。
ゲームやらないと友達の話題についていけなかったし、仲間はずれにされたくなかった。
母親に何度も「ファミコン買って!もうすぐドラクエでるから!人気あるから早く買わないとなくなっちゃう」
と駄々をこねたが「そんなのばかりやってないで勉強しなさい」といつもそれで話が終わってしまう。
親父は厳しかったからとても親父には頼めなかった。
学校では明日発売のドラクエⅢの話題でいっぱいだった。
ファミコン持ってない俺は話題に参加できずに一人で道徳の本読んでた。
家に帰ると親父が「明日は早起きしろよ」と俺に言ってきた。
「なんで?」聞き返すと
「明日はドラゴンクエストの発売日なんだろ?凄い人気だから並ばなきゃな」と答えた。
お母さんがお父さんに言ってくれてたんだ、俺は嬉しくて明日に備え9時には寝た。
次の日の朝5時にはおもちゃ屋の前に親父と二人で並んだ。
あの時の嬉しさは一生忘れない。